哀しみの音色

 
「気持ちいいー!」


電車に揺られて2時間。
決して海に近い場所に住んでいないので、ここまで出るのに結構な時間がかかる。

ようやく目的地に着いて、俺は思わず声を上げた。


まだまだ暑すぎない気候。

海風がすごく気持ちよかった。


「気持ちいいな!莉桜」
「……うん」


莉桜もそう思っているのか、心なし表情が明るかった。

海風に吹かれて、莉桜の綺麗な髪がなびいている。


「……ちょっと入ってみちゃおうかなー」


目の前には青い海。

俺は我慢できずに、靴を脱ぎ、ズボンをまくると、海のほうへ歩いて行った。


「つめてっ……」


いくら暖かくなっているといっても、さすがにまだ海の水は冷たかった。

だけどやっぱり気持ちいい。