この時の俺は、本当に自分のことしか考えていなかった。



莉桜を救いたい、と思っていたことが
莉桜を苦しめていた、なんて……思いもしなかったんだ……。

 

《ねえ 誰かおしえて
 どうすればこの悲痛な想い
 あなたに届けられるの?》



その歌声は
ここにいない誰かに向けられていたことに

ただ気づかないふりをしていただけだった。