「バカ…じゃないのっ……?
 あたしといたら傷つくのは、アンタなんだよ!?」

「いーよ、傷ついたって。
 俺、バカだから、たぶん傷ついたことに気づかねーし」

「そんなことっ……」

「いいから来いよ。
 めんどくさいことは嫌いだって言ってんじゃん」

「……」


手を広げて、莉桜が降りてくるのを待つ。

莉桜は唇をかみしめたまま、俺から目を逸らしていた。


「だ…めっ……絶対にダメっ……
 そんなことしたら、アンタがっ……」

「莉桜!!」


それでも拒絶する莉桜に、言い聞かせるように声を強めた。

その声に、莉桜はビクッとする。



ずっとずっと拒絶されていると思ってた。
俺のことも、誰のことも、心の中に入れないと……。


だけど本当は


きっと誰よりも、救いの手を求めているんだ。



「そんな瞳、俺が消してやる」

「……っ」



莉桜から大粒の涙が零れ落ちた。

その瞬間……



「ぁっ……」



莉桜の体がふらつき、ジャングルジムの上から落ちた。