莉桜が去って30分も経っていた。

当然のように、家の周りには莉桜らしき人物は見当たらない。


だけど莉桜の居場所は分かっていた。


彼女はきっと
あの公園にいるだろう……。



「はぁっ…はぁっ……」


駆け上がってきたその公園に、莉桜はいた。



「ねえ 誰かおしえて
 どうすればこの悲痛な想い
 あなたに届けられるの?

 私一人 この場所から動けずにいる」



哀しい歌声…。

熱のせいか、初めて聞いたあの声よりもかすれていた。


俺はその主に、一歩ずつ近づいて行った。