哀しみの音色

 
今まで、俺の好きなタイプと言えば、どちらかというと妹タイプの女だった。


人懐こくて、よく笑って、甘え上手。
外見も、ふんわりとした癒し系がタイプ。


莉桜はまさに、その反対だった。


だけど……



やっぱり俺…

莉桜がもう好きだ。



かもしれない、という気持ちは
莉桜が去っていくことで確信に変わっていた。


冷たい瞳が気になるだけだと思っていたけど
時折見せる悲しげな瞳を、俺が笑顔にさせたい。



好きの理由なんて
それだけでいいじゃんか……。



そのことに気づいた瞬間、俺は部屋を飛び出していた。