狭いシングルベットに、二人一緒に入る。

俺の心臓は、ありえない速さで高鳴っていた。


まだお互いに座ったままで、彼女はこつんと俺にもたれかかっていた。


「あ、の……」
「ごめん。少しだけ、このままで……」
「……うん」


もたれかかってくる彼女の肩は、ほんの少しだけ震えているように感じた。

もしかして、泣いているんじゃないかと思って、そっと顔を覗き込んだが、そこにはただ下へ俯いて見つめる彼女がいただけだった。



「……あのさ…」


しばらくの沈黙のあと、俺は気になっていたことを問いかけた。


「なんで熱があると、家に帰りたくねぇの?」
「……」


その質問に、彼女は答えない。


まあ、そうだよな。
答えられたんなら、昨日のうちに言ってたはずだ。


あきらめかけたその時、彼女は口を開いた。


「……弱ってるから」


それは、その声からも感じるほどの弱さだった。