「あたし、あんたにここまでしてもらう理由、ないと思うんだけど」
「……うん」


正直そうだった。

まだまだ知り合って間もない俺たち。
しかも特別関わりがあるわけでもない。


それでも……


「なんか……気になっちゃったから……」


彼女のことが、気になって仕方がない。


「……皮肉だね…」
「え?」
「なんでもない」


最初の言葉は、あまりにも小さい声で聞こえなかった。

だけど彼女の瞳は、また悲しみに満ち溢れた瞳になっていたのは確かだった。


「ねえ……」
「うん?」
「今からのあたしの行動は、熱のせいにしてほしいの」
「え?……うん」
「こっちに来て……」


少し火照った体で、俺を呼び寄せる彼女。

布団をめくって、ここに来いと言う。


内心戸惑ったが、真っ直ぐと見つめてくる彼女に、俺は言われるがまま布団の中に入った。