そういえば薬……。
結局昨日、薬を飲ますのを忘れてた。
俺は自分が飲んでいる種類の薬を取り出すと、そのままキッチンに行って、軽くおかゆを作った。
そして戻ってくると……
「あ……おはよ」
「……おはよ」
彼女はすでに起きていたらしく、ベッドから上半身を起こして座っていた。
「ちょうど今、おかゆ作ってきたんだ。食える?」
「……ん」
そのままの体勢で、布団の上からお盆を乗せる。
彼女は一匙お椀からすくうと、息をふーふーと吐いて口に運んだ。
「どう?」
「ふつう」
「そ、そうだよな」
おいしい、という一言が聞けるかな、と思ったけど、彼女から出た言葉はお世辞も何もない。
確かに、おかゆなんて、決してうまいもんじゃねぇけどさ……。
「でも……」
少しだけへこんでいると、彼女はちらっと俺の顔を見て……
「ありがとう」
一言そう続けた。
男は単純だ。
それだけで、俺はまた舞い上がった。

