ほんの少しだけツキンと胸が痛くなった。


なんだ…
男がいんのか……。


そう思った瞬間、心がどんどんとモヤモヤしていった。


いい加減、握った手を離そうと思ったけど、それを彼女は拒むようにぐっと手の力が強くなった。



「……なんなんだよ……」



思わず、ため息交じりで漏れてしまう嘆き。


迷惑のような…
嬉しいような……


複雑な感情。



好き、とか
さすがにまだそこまで発展はしていない。

ただ気になっている存在。



だけど俺はこの時すでに、
顔も知らない「れん」という男に、嫉妬をしていたのは確かだった。