「帰らなくていいの?結構な時間だけど」
「え?あ、ほんとだ」
言われて気が付く。
時計を見ると、すでに0時になろうとしていた。
「り……水島さんは?」
「莉桜」と呼ぼうとして、苗字に切り替えた。
なんだか、また名前で呼んだら、泣いてしまうんじゃないかと思ったから。
「帰らないよ」
「なんで?」
「なんでも」
理由は教えてくれない。
だけどこんな女の子を、夜の公園に一人きりにさせておくことが心配だった。
「もしかして、いつも帰らねぇの?」
「ううん。いつもは帰る。だけど……」
「だけど?」
「………熱、あるから」
「え!?」
あまりにも予想外の言葉に、つい声を上げてしまった。
「それじゃあ、余計に帰らねぇとじゃん!」
「嫌。こういう日は、夜一人で眠りたくないから」
「でもっ……」
「いいから放っておいてよ」
子供か!と思わず突っ込みたくなった。

