「蓮がいなくなって、あたしが作る歌は悲しい曲ばかり。
バカ……だよね。
たとえ届いたとしても、こんな悲しい歌なんか聞いたら、蓮は悲しむだけだ……」
「……」
俺は立ち上がると、そっと莉桜の肩を抱いた。
莉桜の瞼には、再び涙がたまっている。
「でもね、今なら思う。
もう悲しい歌なんて歌わない。
もっともっと、元気になれる歌を……。
樹が傍にいてくれるから」
「莉桜……」
涙をこぼしながら、俺に笑顔を向ける莉桜。
その笑顔に嘘なんかなかった。
俺は莉桜に微笑みかけると……
「ああ。
俺にもその歌……聴かせてくれ……」
莉桜は微笑んだ。
優しい笑顔で―――。