哀しみの音色

 
「俺はもっともっと、莉桜の笑った顔が見たい。
 莉桜が喜ぶ顔が見たい。
 
 莉桜と一緒に、たくさんの思い出を作っていきたい。

 俺にはまだまだやりたいことがあるんだよ。


 だから……
 絶対に死なない」


「……っ」



抱きしめる腕に、ぽたっと滴が落ちた。


莉桜の瞼から、大粒の涙が次々と零れ落ちていく。



「で…も………あたしっ……
 そんなんじゃ、蓮にっ……」

「蓮さんは、自分の命をかえてでも、莉桜を守りたかったんだろ?
 莉桜のこれからの幸せを守りたくて……。
 それなのに、莉桜が自分の幸せから逃げてたら、蓮さんの思いが報われねぇじゃん」

「……」

「莉桜……」


俺は莉桜の体を、自分のほうへ向けた。


莉桜は涙を流しながら、俺の顔を見上げる。