「おい、莉桜っ!?」


慌てて、莉桜へ駆け寄ると、莉桜の額からは尋常じゃないほどの汗がにじみ出ている。


「莉桜!どうし……」

「い、や………嫌だっ……嫌だーーーっ!!」


俺の手を振りほどき、頭を抱え込んで泣きじゃくる。

必死に莉桜の名前を呼んでも、莉桜の目の焦点はどこにも合っていなかった。


「莉桜!!」


その時、俺たちの異変に気付いた浩介さんが戻ってきた。


「浩介さんっ……。莉桜が急に……」

「……ちっ」


浩介さんはあたりを見渡し、道路に散らばったポールを見て舌打ちをした。


「とりあえず車に戻ろう」

「はいっ」


浩介さんは、莉桜を抱きかかえ、俺はあとについていく。



「嫌っ……れんっ……蓮っ!!」



必死にもがきながら、莉桜がひたすら呼ぶのは


蓮さんの名前だった。