「い……つき……?」


突然現れた俺に、莉桜は幻でも見ているかのような反応をする。

俺は莉桜を抱きしめている腕に、力を込めた。



「莉桜……。
 もう十分だよ……。
 莉桜はもう十分すぎるほど、自分を責めたって」


「……そ、んなこと…」


「蓮さんと俺……確かに似てるよな……。
 俺もすげぇ驚いた。

 だけどさ……

 俺の隣で笑っててくれたのは、蓮さんの隣にいる莉桜じゃねぇだろ?
 俺と過ごした時間で笑ってくれたんだろ?

 中身が違うのに、幸せ感じてくれることってさ
 もう完全に、別の人として、自分の中で認めてるってことだよ。

 人は外見が似てるだけじゃ、心は満たされないから」


「……」



莉桜の肩が、また小さく震え始めた。


必死に過去の自分と闘って、湧き上がる感情を抑えようとしている。


俺は莉桜の過去に負けないよう、さらにきつく抱きしめた。