「蓮によく似てるの……。
 いけないって分かってても、すがることをやめられなかった。
 彼を通して、蓮を見てしまってた。

 だけどね……


 蓮と樹……全然似てなかったんだよ」


俺の名前を出されて、ドキッとした。


震える莉桜の体を、今すぐ抱きしめてやりたい。

だけどきっとまだ、それをしてはいけない。

莉桜が全部吐き出さなければ……。



「外見は確かに似てるんだけど……
 中身はまるで違ってた。

 高いところが平気だったり、絶叫系が好きだったり……。
 コーヒーはブラックで飲まないし……。
 バカみたいに必死になったりとかして……。


 あたし、いつの間にか……
 そんな樹の隣にいることが幸せに感じるようになっちゃったよ……」



莉桜の立ちすくむ地面に、ぽたっと滴が落ちた。

まるで大粒の雨のような……。