十二の暦の物語【短編集】

「あ、そーだ」

祐雅が参考書から目を離して話しかけてきた

『何ー?』
「俺教わってばっかじゃ悪ィし。日本史教えよーか?」
『は?』

待て待て待て
祐雅からそんな優しい言葉が出るとは思わなかった!
いや、いつもさり気に優しいんだけどね?
受験前のこんな切羽詰った時に言ってくれるとは思わなかった…

「は?って…俺じゃ不安っスか??…俺いちお日本史は得意なんだけど…」

声を小さくして俯いて呟く
ああもう…恥ずかしいけど可愛い!!!!

『や、え!不安じゃなくて!!いーの!?まだ教えきってないけど!!』
「ん。イイ」

めっちゃ笑って顔を上げた
そんな顔もまた可愛い…重症だなウチ

「4駅で多分俺も全部教えらんねーから。両方お相子って事で」
『…ハイ…』
「んじゃーどれー?何処何処ー??」

参考書を2人の間に持ち上げて聞く
昨日からなんとなーく不安だった範囲を指差す

『ココ…』
「コレー?コレはな…」