更に30分後

竜也が机にシャーペンを置いた

「……終わった…」
『お疲れーっ』
「……あ、ごめん師走っ」
『え?』

ケータイを見た

【20:14 Decenber 24】

『は…8時っ!?…こんな時間かかってたんだ…』
「ごめん。もう色んな店閉まってるかも」
『あ、いいよ別にっ。あたしも気付かなかったし!』
「でも、俺達が行く予定のとこは開いてるから」
『ホント?』

竜也が立ち上がって、クローゼットを開けた
黒いダウンを取り出しかけて、ぴた。と止まった

『…ぁれ、どーしたの?』

静かにクローゼットを閉めた

「……でもさ」

ゆっくり振り返った
メガネを左手で外しながら、黒いネクタイを緩めた

『あれ、ネクタイ外しちゃうの?今から出かけるのに』
「…俺疲れた」
『あ、そうだよね…ずっと勉強してたもんね…』
「だから、家で楽しむ」
『え、何かあんの?あ、ケーキ買ってくるとか!?』

あたしがテンション上がってそう言うと、フッと笑った

「違うよ……」



『…ぇっ??』


いきなり、軽々とあたしを持ち上げた
【お姫様抱っこ】…で