十二の暦の物語【短編集】

私がそう零すと、少年の顔が明るくなった

「やっぱ睦月ー!!!!」

やっぱり、この少年は和哉だった
お賽銭の効果は、甚大だね

『久しぶりだね』

隣に少し小走りで並んで声をかける
中3の時も見上げてたけど…もう垂直に首を上げないと顔が見ない位大きくなってる

「おー。マジで全然会わなかったもんなぁ」

声も 表情も 癖も
何も変わらない
やっぱり、和哉

『相変わらず騒いでたね』
「やー。俺人いっぱい居る場所すっげー好きだし」
『私は駄目だなぁ。息苦しいもん』
「睦月はチビだもんなぁ」
『まぁ…そうかも…高3にもなって154だし…』

ははっ。と笑ってまた頭を掻く

『和哉はまた大きくなったねー』
「まー。成長期っスから」
『羨ましいっ』

ポケットに突っ込んでいた両手を出して、口に当てて息を当てる

『寒~~っ』
「甘酒。貰うか?」

少し背を屈めて首を傾げながら言う

『うん』

急に何処かあったかくなって、頬がゆるむ
和哉は笑顔で頷いて前に進む