花火は中盤に入って、カラフルな火の粉を撒き散らしながら次々と散っていった
派手な花火ばっかなんだけど、俺はクライマックスの少ない色でデカい花火が好きだ

文月に視線を移すと、花火見ながらカキ氷食ってた

「めっちゃ綺麗ー!…わ、練乳落ちるっ!!あ、でもでも花火から目ェ離せないし…」

…何だコイツ、すっげぇ可愛いんだけど

黒地の大人っぽい浴衣着て
帯締めて
髪型変えて
下駄履いて

すっげぇ女らしくなったけど、中身は変わってねぇんだ

色んな色の花火に照らされて、黒い瞳がつやつやしてる

肌にもうっすら花火の色で照らされていて、変に女っぽい

でも、文月は文月なんだ










「えっ…ちょ…孝司…っ」



そんな彼女が可愛くて、誰にも見せたくなくて


坂になってる芝生に優しく押し倒して


手に掛かるカキ氷のベタついたシロップなんて無視して


覆いかぶさって、キスをした