お嬢様重奏曲!

 先ほどよりも魔力が高まった司の力は、カオスとほぼ同等になった。
「ここに来て僕と同等。しかも誰からの魔力を吸収せずに…これだから君は!」
「お前とじゃ力を得る理由が違うんだよ!」
 再び司とカオスが衝突する。
「僕だって最初は守るために戦ったさ! でも守れなかった! だから力が必要だったんだ」
「お前に何があったか俺は知らない。だがお前は戦うための力を求めた。俺はどんな絶滅な時だって守るため力を貫き通してみせる!」
「そんな綺麗事を!」
「俺は守護者だ!」
 二人が衝突する度に結界が悲鳴を上げる。
 カオスは結界の状況を見て、一度司から大きく離れた。
「やはりこの空間じゃ僕たちには狭すぎるかな」
 カオスは大きく両手を広げる。
 すると空間が割れて、そこから新たに無限に広がる空間が現れた。
「これなら問題無い。誰も邪魔は出来ない。あっちとは完全に隔離されたからね。空間とは言わず世界と言ってもいい」
「そうか。それじゃ決着を付けるぞ!」
 二人とも大きく離れ、魔力を高めていく。
「一撃で決めるぞ」
 二人の魔力が最大限まで高められていく。カオスの目の前には巨大な魔法陣が描かれていく。司は腰溜めに構えた拳に膨大な魔力が収束していく。
 二人しかいない空間なのだが、二人の魔力ですでに世界は悲鳴を上げ始めていた。つまりこれまで司は全力で魔力を解放した事がなかったのだ。解放してしまえば今のように、世界に負担をかけてしまうからだ。それだけは感謝していた。
「決着を付けようか」
「ああ。これで終わりにしよう」
 互いに必殺の魔法が完成する。
「復讐者が勝つか」
「守護者が勝つか」
 二人が睨み合う。己の存在理由を賭けて。
「「いざ勝負!!!」」
 司とカオスの魔法が衝突した。その瞬間世界が激震した。
「…さすがだね。君の勝ちだ。けど僕の勝ちだ」
 司の魔法でカオスが消滅した。しかし世界は戻らず、そして残されたのは魔力が尽きた司だけが立ち尽くしていた。
「…さて、どうしたもんかな」
 力尽きた司はその場にぺたんと座り込んだ。
「…ゴメン。薫さん。約束、守れないかも」
 途方に暮れた司は、空を見上げるしか出来なかったのだった。