司たちが準備を進めていた間、日本政府はカオスが展開させた結界に攻撃を仕掛けたが、どれも全て無効化されそして全滅させられた。
 これを受けてか御影家も宗家と分家の双方が手を取り合い、準備の早急が進められたのだった。
 そしていよいよ準備が整い決戦の時がやって来た。投入出来るだけの人員を全て投入する、総力戦となった。この総力戦には宗家と分家の当主も当然参加していた。
 司はカオスとの戦いのため力を温存するため、皆が突破口を開いた時に突入する手筈になっていた。
「薫先輩にはちゃんと会ってきた?」
 そんな中、美凪が司の元へとやってきた。
「何だよ美凪。いきなりやってきて」
「だって愛しい彼女なんでしょ? 恋人同士なら当然最後になるかも知れないんだから、会うのは当然じゃない」
「そんな重い事にはなんないさ。だって最後にはならないんだしよ」
「あら? 随分と余裕なのね。勝てる見込みでもあるの?」
「あるわけないだろ?」
 相手は自分より強いかもしれないのだ。勝てる見込みなどあるわけもない。
「だったらなんでそんな余裕ぶってるのよ!」
「なんでお前が怒るんだよ」
「皆必死に頑張ってるのよ? なのにあんたがそんなんでどうするのよ。嘘でも勝てるって言ってよ! 私だって本当は……」
 今にも泣きそうになっている美凪の頭に、司は優しく手を乗せる。
「俺はあんましそんな嘘はつきたくないんだ。だからよ? 言わせてもらうぜ」
 司は美凪の目を真っ直ぐに見つめる。
「俺はあいつに絶対に勝さ。あんな死にたがりになんか負けやしない。例え勝てる見込みがなくてもだ」
 その強い意思と覚悟が込められた目に、美凪は思わず言葉を失った。
「そのためには美凪。お前も死ぬなよ? 守護者たるもの守るやつより早く死んだら、示しがつかないからな」
「ふ、ふん! それだけ言うんだから、負けたりなんかしたら許さないからね!」
「分かってるさ。だから勝ちに行くぞ」
「ええ。もちろんよ」
 美凪の瞳に強い意思が宿る。
「二人とも。もうすぐ突入出来るから、持ち場に着きなさい」
 木の葉がいつもと違い緊張な面持ちで、二人の前に現れたのだった。