カオスとの初対面の後、とりあえず現宗主である父親に報告を済ませた。その反応が予想していたよりもずっと冷静だった事に驚いたほどである。
「………あいつ。一体何者だったんだろ?」
 カオスとは初対面だったはずなのに、どこかで会っているような感覚を覚えたのだ。それだけではなく、それはまるで自分と対峙しているようでもあった。
「まっ、あいつの仮面を脱がして素顔を見れば、なんか解るだろ」
 そう考える事で不安を強引に取り払い、ベッドに倒れ込むのだった。
 そしてその翌日、授業が終わると薫たち魔法研究同好会(仮)の活動のため、全員屋上に集まっていた。しかし今回はそこに美琴の姿もあった。
「…んで? なんでここにお前がいるんだよ。美琴」
 美琴もお嬢様なのだが司が呼び捨てにしても、全く気にする様子もなかった。
「ええやんか別に。ウチかていつまでも、置いてけぼりは勘忍やからな」
「いいじゃないですか。司さん。私たちなら構いませんから」
 そこへ美琴の親友たる薫がフォローに入る。
「ほれ見てみいや。薫がええ言うとるんや。いても構へんやろ?」
「いやいる分には俺も構わないんだが、参加は出来ないぞ?」
「十分や。見てるだけで退屈せえへんやろうし。隅で大人しゅう見学しとるわ」
 と美琴は言った通り隅に座り込む。
「……ま、いいか。んじゃ始めようか。美凪、真夜ちゃん。準備よろしく」
「…はいはい」
「分かりました」
 美凪と真夜はそれぞれ周囲に、認識阻害と防御の展開させる。
 ここ最近は薫たちの成長を確かめるために、こうして実践的にテストを定期的に行っているのだ。そのため薫たちは緊張のため表情が少し強張っている。
「それじゃ始めようか」
「いっくぞぉぉぉぉ!」
 先手を切ったのは刻羽だった。メンバーの中で成長が著しいのが刻羽である。
「フォローします」
 その後ろから援護射撃をする咲枝。技術だけ見れば一番とも言える。
「司さん! 勝負です」
 別の角度から迂回し薫が挟撃してくる。
 潜在的な魔力を見れば真夜をもう薫は、真夜を超えていた。
 三人の成長に喜びを感じつつ、真夜と美凪も参加しての波状攻撃にどう対応するか、考える司であった。