「……そ、そんな」
「これで終わり?」
「結局一回も魔法をあてれなかったなんて」
 三人は肩をがっくりと落とし、その場でうなだれる。
 それに対して司の表情は明るいものであった。
「それじゃ試験の結果を発表するよ」
 その言葉に三人の表情が暗くなる。
「試験の結果は………」
 三人の顔を一人ずつ見つめる。
「おめでとう! 三人とも文句なしの合格だ」
 予想外の結果に三人は目を丸くさせ、驚いていた。
「え? 合格って…私たち司さんに負けましたんですけど」
「それに私たちは司様に一度も魔法を当てれませんでした」
「そうだよ。私たちの事を思ってるなら、本当の事を言ってよ」
 司に三人が詰め寄る。その勢いに圧倒されてか、司は一歩後退する。
「本当だってば。第一俺がいつ俺に勝てとか、魔法を当てろとか言ったんだよ? 俺は皆の魔法を見せてくれって言ったはずだけど? 三人とも自分の特性を活かし、理にかなった魔法の運用をしてた。特に最後の三人合作魔法は凄かった。よほど三人がシンクロしてないと、無理だから。だから三人は合格。どう? 納得した?」
「まぁ私はこんなもんだろうと思っていたけど」
 隣で美凪が肩を竦めて見せる。
「そ、そうなんですか?」
 真夜が目を丸くさせ驚いている。
「当然でしょ? 司は結界の強度と内側にもう一枚結界を展開させて、それでも余裕なのよ? そんな連邦の白い悪魔に勝てますかっての」
「仕方ないだろ? これだけの魔法戦なんだから、木の葉さんにはばれないようにしないといけないんだからさ」
 と司は改めて三人の顔を見る。いまだ信じられないような表情に、司は少し笑ってしまう。
「さて。改めて言うよ。おめでとう。これで三人は御影家の門下として、魔法使いになる事が出来た。そしてようこそ。俺たち魔法使いの世界へ」
 司は恭しくお辞儀をして見せた。
「おめでとう、とはあんまり言えないけどね」
 美凪が苦笑する。
「ですが歓迎いたします」
 真夜は礼儀正しくお辞儀をする。
 こうして今ここに晴れて、新しい魔法使いが三人、誕生したのだった。