あれから司と真夜は寮に戻った。
 あれから何もないと言う事はよほど懲りたのだろう。
 そして今はいつも通り魔法の訓練を、行っている。
「ねえ? 真夜。なんか魔力が上がったように感じるんだけど、気のせいかしら?」
 さすがは美凪。勘が鋭い。
「はい…多分ですけど」
「何があったのよ? あれから。司と二人で」
「えっと……」
 真夜が司を見る。
「真夜ちゃんがまた一つ強くなった。ただそれだけだよ。まっ協力な使い魔を得たけどね」
「み、御影先輩!」
 使い魔と言う単語に反応し、全員が真夜の周りに駆け寄る。
「うわ〜。なんか魔法っぽいね」
「真夜ちゃん。見せて」
「私も気になります」
「じ、じゃあちょっとだけですよ」
 真夜が手を振り上げる。
「召喚に応じいでよ! ギンちゃん!」
 真夜の目の前に魔法陣が現れ、そこから銀狼が現れる。
「名前、ギンにしたんだ?」
「はい。可愛いですよね」
 使い魔は名前を付けられる事により、主に服従する。
「うわ〜。このわんちゃん可愛い」
「薫さん。それ犬じゃなくて狼ですから」
「だけど、こんなペットよく飼えたね?」
「刻羽さん。ペットじゃなく使い魔だから」
「野性ではこれほど、大きくなるものなのですか?」
「咲枝さん。妖怪なので獣と一緒くたに考えない方が」
「これは良い研究動物になりそうアルね」
「チャオ。一応神格高いから止めとけ」
「ふ、ふん。これが何だって言うのよ。私の方がずっと強いんだからね」
 美凪の表情から明らかに負け惜しみだと、分かる。
「はい。まだまだ美凪には勝てませんけど、もっと強くなって見せますから!」
 とびっきりの笑顔で真夜は美凪を見つめた。
 そんな笑顔を見て司も思わず綻ぶ。
「ねえ? 司。本当に何かあったの? たった一日で偉い変わり様じゃないの」
「人間変わろうと思えば、時間なんて関係ないって事だろ? グズグズしてると真夜ちゃんに追い越されるぞ?」
「上等よ。それでこそ私が選んだ友達だわ」
 美凪も相当負けず嫌いらしい。
 薫や真夜たちが銀狼に戯れているのどかな風景を眺め、司は幸せそうに微笑んだのだった。