「…………て下さい…………げさん起きて下さい…………御影さん起きて下さい」
 なにやら体を力弱く何回も揺さぶられているのを感じ目を覚ます。
「んあ? ………えっと神楽さん?」
 目の前に薫の顔がある事に司は疑問を抱いていたが、頭の回転が回り始めてようやく自分の状況を把握する。
「うわっ! ごめん! なんか爆睡してたみたいだ」
「そんなん見たら分かるやろ?」
 薫の隣で美琴が呆れた表情を見せていた。
「もう! 美琴、そんな事言わないの。御影さんだってお片付けで疲れてるんだから」
 薫が頬を膨らませながらフォローする。
「なんや? 随分と司の肩を持つんやな? もしかして薫…」
 何やら美琴は薫を見てニヤリと笑って見せた。
「べ、べべべ別に私はそんなんじゃ」
 美琴の言葉に薫は耳まで真っ赤にさせ否定する。
「ふ〜ん? まぁええわ。その話しはまた後でしよな? それよりもはよせんと冷めてまうで?」
「そうだった。御影さん、お料理が出来たので食べに来ませんか?」
「料理?」
 確か薫は片付けが終わったら料理を御馳走してくれるような事を言っていたのを、司は思い出した。
「本当に作ってくれたんだ? だったら御馳走にならなきゃ男じゃないよな」
 ベッドから立ち上がり薫の側まで歩く。
「良かった♪ じゃあ私の部屋に案内しますね?」
 上機嫌なのか眩しいほどの笑顔を見せながら司の前に立つ。
「ん。それじゃ行こうか」
「はい♪」
 三人は屋根裏部屋改め司の部屋を後にして、薫の部屋へと向かった。
 その道中に美琴が司の横にやってくる。
「しっかし司も隅に置けへんなぁ?」
「何がだよ?」
「まだ知り合って間もない女の子の手料理を御馳走になるだけやのうて、部屋に上がらせてもらえるなんて。こんなん普通ないで?」
 確かに言われて見ればまだ知り合って一日も経っていない。
 これはよほど信頼されているか男として見てもらえてないか、危機感がなっていないなのどれかであろう。
 もし三番目であれば少なからず忠告しておくべきかもしれない。