あれからと言うもの週に一度は魔法の訓練を行う事になった。
 訓練内容は最初に魔法感知の練習をしてから、次に感知した魔力の収束に増幅。これが出来なければ、どんな小さな魔法でも使う事が出来ない。
 やはり刻羽が詰まらないと文句を言ってきたが、説得に成功し何とか練習に励んでいる。
 そして訓練のない日は出来るだけ物理学の勉強をするよう、伝えた。
 まずは火や風などが何がどうやってどうなる事によって起こるか、知らなければならないからである。
 訓練を開始してからある日の事である
「あ、あの御影先輩。少しよろしいでしょうか」
 いつものように魔法の訓練をしている途中、真夜が司に声をかけてきた。
「ん? どうしたんだい? 真夜ちゃん」
「そ、相談したい事がありまして」
「相談? なんだい」
「はい。先日、神社に御祓いの依頼がありまして」
「うん。それで?」
「まだ表立っての事件にはなっていないのですが、御祓いに向かった方たちが、次々と行方不明になっているんです。しかし霊障が消えない以上、御祓いをしなければならないのですが……」
 そこで真夜は口を閉ざし両手をギュッと握り絞めていた。
「………なるほど。つまりその御祓いの話が真夜ちゃんに回ってきたわけだ」
 その言葉に真夜はビクッと肩を震わせる。
「んで、俺の力を借りたいと」
 どうやら図星らしく、とうとう顔を俯かせる。
「いくら真夜でもそれは図々しい話ってものよ」
 話を聞いていたのか、美凪が割って入ってくる。
「御影に直接依頼すればいいじゃないの。変なプライドにこだわらずに」
「私もそう進言しました。ですが」
「駄目だろうな。あの爺さん頑固だし。……うしっ分かった。手伝うよ」
「司! あんた分かってるの?」
「御影としてなら問題だろうが、学生としての御影司なら問題ないだろ。と言っても、当然メインは真夜ちゃんで俺はサポートに徹する」
「…呆れた。宗主様にばれたら大変よ?」
「な〜に。大丈夫さ。なんとかなるって。と言うわけでその御祓い。一緒に頑張ろうな? 真夜ちゃん」
「はい! ありがとうございます! 御影先輩」
 真夜は涙を目に一杯溜めて頭を下げた。