【完】初めての恋は――。

試合から帰って、稲北中の道場に戻り、解散する前にコーチ告げられた。


「今日はお疲れ様でした。明日は稽古は休み。ただし、例のやつを明日行う。試験の成績が良くなかった奴は、明日は筋トレ日とする。順位は自己申告にするからな」


……私は関係ないや。



コーチが帰り、最後に戸締りをする男女両キャプテンと私と弘樹だけが最後まで残っていた。


不満を露わにしている前田先輩の、さっきの状態へとここから繋がる。




「仕方ないですよ、先輩。だって先輩の成績壊滅的でしたもん」


弘樹は先輩の成績を見せてもらっていたらしい。


「そんなに悪かったんですか?」


「今回も酷かったよ。クラスじゃ最下位だよ、最下位」


私の質問に、前田先輩ではなく小百合先輩が答えてくれた。


というか、クラス最下位とか……マジですか?



「お前ら、うるせーな。どうせ俺は馬鹿だよ。で、お前らは結果どうだったんだよ」


前田先輩の質問に少し困ってしまった。


言ってもいいのかな?


弘樹の方を見ると、しっかりと目が合って、アイコンタクト。


うん、言うよ。



「私は12番で、前回と変わらずです」


「俺は3番です」



今回もまずまずの成績だった。弘樹には勝てなかったけど。


「この2人に聞くのはやめたほうが良かったと思うよ。惨めな思いするだけだから。私も条件クリアだったから、この中じゃ和也だけだから」


「くそー、何で俺だけ……」


先輩は呪詛のように、不満をブツブツと呟き続けていた。