【完】初めての恋は――。

「お前らも付き合ってるとか言わないよな?」






……は?


いやいやいや、何で、どこからそんな発想が?


ありえないから。

弘樹と私とか。


そんな目で見たことは一度もないからね。




「……ありえないですから。付き合ってませんよ」


気のせいだろうか。

弘樹が少し不機嫌になった気がする。


たぶん他の人では気付かないような、些細な変化だったけど。


「休みの日に家で一緒に勉強してるなんて、そう思われても仕方ないからな。お前らどんだけ仲いいんだよ」


「余計なこと言わないの」


「だって、さっきの大石の発言が、相当の衝撃で後を引いてるんだぞ。そりゃ、勘ぐるわ」


更に追求してくる前田先輩を小百合先輩が窘めた。


こういう関係って、普通じゃないのかな?


弘樹とはずっとこんな感じなのに。




「クラスも部活も一緒だし、幼馴染だしで、こんな感じがずっと普通なんですよ。な、亜美?」


考え込んでいると、また先に弘樹が答えていた。


「そうですよ。付き合ってないし、こんな感じが普通なんですよ」


「……まぁ、お前らがそう言うなら、それで納得するしかないけどな。けど、周りはたぶんそうは捕らえないから気をつけろよ」


「……わかってますよ」


気をつけるって何を?


2人の会話がよく分からず、首を傾げるしかなかった。