【完】初めての恋は――。

「……俺には全然お前らの言ってること理解できない」


急にした声に前を向くと、前に座っている前田先輩が大きく振り向いていた。


「私も、わかんない。2人も成績いいって言ってたもんね」


「マジかよ。俺らと同じような生活してるから、仲間だと思ってたのに」


小百合先輩には一学期の期末のあと成績を言った気がする。


けど、前田先輩は知らなかったらしい。


本気で驚いてるのが伝わってくる。


リアクションは大袈裟すぎる気もするけど。



「前に亜美言ってたもんね。ちなみに、期末は何番だったんだっけ?」


小百合先輩の質問に、自分の順位を一生懸命思い出した。

……あれ?何番だったっけ?



「俺が4番で、亜美が12番でした」


私が思い出せないでいると、隣の弘樹が2人分答えていた。


「ちなみに、数学は亜美が学年トップですよ」


うん、それは覚えてる。


1つ△が付けられて、-1点の99点だった。


「……すごいね、2人とも」


先輩たちは私たちの成績を何だと思ってたんだろう。


そこまで驚かなくてもいいのにね。




「嘘だろ?!俺らなんて……な?」


前田先輩は小百合先輩に同意を求めていた。


「私は真ん中くらいで、和也は後ろから数えるのが早いくらいでしょ。私と和也を一緒にしないでよ」


「そんな突き放さなくてもいいだろ。酷いな」


2人が目を合わせて、言い合っている様子に、なんだか見ていられなくなった。


……なんでだろう。