【完】初めての恋は――。

「唯、向こうで勉強見てやるから来い」


「うん、分かったー」


大石先輩が声をかけたのは、唯だった。

って、唯?!

何で?しかも唯、先輩相手にタメ口だったよね?

……まさかだよね。


周りを見回すと、私だけじゃなく、前田先輩、小百合先輩、弘樹とみんな呆気に取られていた。


よかったびっくりしたの私だけじゃないよね。


一番に口を開いたのは、前田先輩だった。




「一応確認しとくけどさ、お前らってどんな関係?」


前田先輩、よく聞いてくれました。


「俺ら付き合うことになったから」





「「「「……聞いてない!!!」」」」


聞いてないから。


みんな声を揃えたのは当然だろう。


驚いたのは私たちだけじゃなく、周りにいた他の部員も同じだった。


「お前ら全員うるさい」


大石先輩の声に、騒がしかった室内は一気に静かになった。


「今、報告しただろ。ただでさえ成績悪いんだから、静かに勉強してろ」


ごもっともな言葉に、みんなしぶしぶ勉強を再開した。


大石先輩と唯か。


すごく絵になる2人で嬉しい出来事のはずなのに、なんか置いていかれたような寂しい気分になった。





……私も、勉強に集中しよ。