【完】初めての恋は――。

一室貸しきってある部屋で、思い思いの席に着いて勉強していた。


「わかんねー」って言葉があちこちから聞こえている気もするけど。


女子3人で勉強を始めようとしていたところに、前田先輩と弘樹がやってきた。


「俺らもこっちに入れて。小百合いいよな?」


「構わないけど、わざわざ一緒にしなくったって良いでしょ?」


「まー気にするなって」



有無を言わせない感じで、私たちの側の席に着き始めていた。


弘樹がいるって事は……


「弘樹、ノート貸して」


「……はぁ。亜美さん、もうちょっと謙虚さとか無いんですかね」


「んー、弘樹に対しては皆無かな」


聞いた時点で私の中では謙虚さを出したつもりだったんだけどな。


弘樹とそんなやり取りをしている最中、私と唯の正面立ったらしい人影に気付いた。


顔を上げると、そこにいたのは大石先輩だった。