【完】初めての恋は――。

途中から、先輩たちとは別れて弘樹と2人になった。


これも毎日の事。


「お前ら女子はもうレギュラーだもんなー。いいよな、人数少なくて」


最近弘樹はこういう話をすることが多くなった。


女子はギリギリの人数しかいないんだから、仕方ないじゃん。


「先輩たちに迷惑かけないように、必死なんだから。試合も相手は上級生ばかりだし、プレッシャーすごいのに……」


理解者であると思っていた弘樹の発言に、なんか悲しくなってきた。


毎日プレッシャーとも戦っていることを、分かっていて欲しいのに。





「あー、亜美ごめん。俺の言い方が悪かった。羨ましいだけだよ。俺が置いていかれた気分になっただけだから」


「……ちょっと、撫でないでよ」


昔から、すぐに人の頭を撫でてくる弘樹。


さすがにもうやめようよね。


でも、弘樹の言葉を聞いて、さっきまでも悲しい気持ちはなくなっていた。




「悪い、悪い。つい癖で」


なんで私の頭をみんな撫でるんだろうね。


子ども扱いされてるみたいで、そんなに好きじゃないのに。


もう中学生になったんだからね、これから身長も伸びて、どんどん成長していくんだから。


みんな見てろよ。


誰に言うわけでもないけれど、1人心の中で誓った。




「それより、明日からは頑張ってこいよ。俺ら一年男子は連れて行ってもらえないからな」


さー、明日からは初めての泊りがけの遠征。


先輩たちの足を引っ張らないように頑張ろう。