【完】初めての恋は――。

私たち1年生が剣道部に入部してから、1ヶ月があっという間に過ぎていった。


毎日、毎日、夜遅くまで稽古が続いた。


1年生は少し早めに稽古が終わって、その後も2・3年生の稽古は続いた。


7月初めには、中体連の地区予選があるため、すでに空気がピリピリとしていた。


1年生なのに、女子部員が少ないため、私と内田さんの2人は最後まで稽古に参加しなくてはいけないけど。




――今日も一日大変疲れました。


今日の稽古がやっと終わった。


1年生が私と内田さんだけだから、2年生の先輩たちと一緒に片付けを終わらせた。



「亜美、帰ろうか」


片付けが終わり、着替えまで済ませてしまうと、小百合先輩が声をかけてくれた。


そうなのだ。


小百合先輩と帰るのが、最近の日課になっていた。


そして、もう1人。


「ちょっと待てよ。俺も帰るから」


帰ろうとしていた私と小百合先輩に声をかけてきたのは、前田先輩だった。


家の方角が近い部員で、まとまって帰る習慣がこの部にはあるらしかった。