「俺のことも忘れるなよ」


この声は、もうお決まりの弘樹。


「弘樹は進路どうするの?」


毎日一緒なのに、そういえばちゃんと進路のこと話すことはなかった気がする。


「俺も稲北高校。お前らと違って、体育科だけどな」



え?なんでわざわざ体育科?


普通科のほうが学力高くて、弘樹なら余裕で通るのに。



「なんでって思ったろ?顔にはっきり書いてあるぞ」


そんな笑わなくたっていいだろうに。


「……笑うな。じゃあ何でわざわざ体育科なの?」


「俺さ、体育教員になりたいんだよ。それに体育科なら成績トップ狙えるだろ?それも狙いなわけ」



「「意外」」


弘樹もここまで考えていたなんて、正直意外だった。


真美と声が揃ったことで、真剣な話をしているのになんだか可笑しくなった。


「お前ら、俺をなんだと思ってるんだよ。とりあえず、そういう訳だから、このまま行けばまた3人とも同じ学校だよ」


そっか、このまま3人で同じ学校か。


夢を優先して考えて、一緒なんて、そんな素敵な事あるんだね。


嬉しいや。




「なにそんなに嬉しそうにしてんの?亜美はやっぱり可愛いー」


「ストップ、ストップ!」


私の制止なんて無視して、真美は私に抱きついてきた。


3年近くたった今でも、真美のこの行動は変わらなかった。


その様子を見て、笑うだけの弘樹。


これも変わらぬいつもの光景。


私が大好きな日常。