【完】初めての恋は――。

卒業式から数日後、電話で小百合先輩から報告を受けた。


前田先輩と2人、菊本高校に合格したらしい。


そして、報告はもう1つあった。




「私ね、和也と付き合うことになったから。亜美には報告しとこうと思ってね」


よかった、あの後、前田先輩、告白したんだ。


これで私が振られにいった甲斐があるってもんだよ。


振られたことにも意味はあったって、そう思えるから。




「実はね、私も和也のこと好きだったから」


……うん、知ってる。


前田先輩の視線の先には必ず小百合先輩がいて、小百合先輩も前田先輩といるときはどことなく嬉しそうで、気付かざるを得ないでしょ?


それだけ、前田先輩と、そして常に一緒の小百合先輩を見てきたんだから。


最初から私に入り込む余地なんて、存在しなかったってことをまざまざと知らされた。