【完】初めての恋は――。

「……今日はありがとう」


別れる前に、どうしても弘樹に伝えておきたかった。


「亜美が素直になるなんて、明日槍でも降るんじゃね?」


人がせっかく素直になったっていうのに、弘樹のやろー。


「うそだって、そんな拗ねるなよ。明日は部活だからな、気合入れてこいよ」


思ったことが顔に出ていたらしい。


「分かってるよ。……おやすみ」


「おやすみ、亜美。また明日」


また私の頭を撫でると、いつものように弘樹は帰っていった。


今日ほど弘樹の存在をありがたいと思ったことはない。


本当にありがとう、弘樹。


弘樹が幼馴染でよかった。