「小百合先輩―、話聞いてくださいよ」


昼休み、給食後は教室外で過ごす生徒も多いため、3年生の、小百合先輩の教室は人がまばらだった。


だから3年の教室でも、訪れやすいんだけどね。


「亜美、また3年のとこにきたんだ。今日は何の相談?」


小百合先輩は嫌な顔1つせず、優しく迎えてくれた。


相談ももちろんだけど、本当はもう1つ目的があった。


「ただ話したかっただけですよ。ダメですか?とうか、また前田先輩もいるんですね」


先輩の隣に、さも当たり前かのようにいる、前田先輩へと視線を移した。


嫌そうに言ってみたものの、そんなの嘘。


本当は嬉しかったりするんです。


引退してしまった先輩と話をするには、小百合先輩の下に行くしか、私には方法なんてなかった。