人間は簡単に死ねる

私も簡単に死のうとした

じゃあ、邪魔者が入った

「ねえ!」

私はそんなやつをお構い無しに
ビルから飛び降りようとした

「ねえってば!!きいてんのかよ!」

なんだよ。うっとおしいな

「おいっ!」

さすがにうるさいから振り向いた

「何か?」

振り向いた先には
みたことのある人が立っていた
めちゃくちゃ必死な顔つきで。

「何か?じゃねえ!」

そいつは近づいてきた。

「は?な、何?」

私は腕をつかまれ、
何かを確認された。

「やっぱり!」

「だから、何?」

「河崎だよな?」

そうだ。
こいつみたことあると思ったら、
「…仲澤ゆうた?」

高校の時のクラスメイトだった。
「そう!おまえ変わってねえな!」

ゆうたは随分、変わった。
金髪でたくさんのピアス、
全体的に派手になっていた。

「何で私だってわかったの?」

ゆうたは私の腕を指差した。

「“やけど”」

「…ああ」

「そういえばアイツどうしてんの?」

《アイツ》

「…さあ?知らない」

「なんだよ。付き合ってたじゃん」

「いつの話だよ、もう3年も前でしょうが」

「ふーん」

「つか、ゆうたのせいで飛び降りる気失せた」

「そりゃ良かった♪」

ゆうたはにかっと笑った。
私はフェンスに手をかけ、
内側へ入った。

「なあ、飯食いに行かね?」

ゆうたの誘いにしかたなく乗り、近所のファミレスへと移動した。