「恋愛は戦争の後。生きて帰って、好きなだけ恋愛したら良い……先行くわ」
 隼人はそれだけ言うとバイクを発進させ、颯爽と駆けていった。
「青春は大人への階段。恋愛も、自分の世界を守るのも、大切な一歩。だから、行くわよ」
 私はそれだけ薫に言い聞かせ、バイクを発進させ、隼人の後を追う。
「待ってよー」
 背中で薫の言葉を受け止めながら、私は思う。この世から戦争が無くならないというならば、私はその度に何度でも戦争に挑み続ける。自分の世界を、世界をつくる大切な人達を守る為に、私は戦う。
「明けない夜はないように、終わらない戦争はない、とか言えたら良いんだけどね」
 私は遠くで燃える戦火を見据えながら、ポツリと呟いた。
 戦争という悪魔は、今日も世界を陵辱する。
   完