戦争用に開発された戦闘スーツに包まれていつもより重みを増した体で、愛車のバイクに跨ると、私はゴーグル越しに隣りでバイクに乗っている隼人(はやと)を見る。
「階段でした約束覚えてる?」
 私はバイク発進の準備をしながら、隼人へと問い掛ける。
「あぁ。私設自衛軍組織、神風。天才ルーキー同士、初陣は勝利で生還」
 隼人は力強く答え、バイクのエンジンを唸らせる。
「嫌だなぁ」
 隼人とは逆の隣りにいる薫(かおる)がボヤく。
「どうしたんだよ、薫?」
 薫の弱気な発言に、隼人が聞き返す。
「私達まだ16だよ?青春真っ只中だよ?何で大人が勝手に始めた戦争に巻き込まれなきゃいけないの?」
 薫の言うことは最もであるけれど、私はそうは思わない。
「青春真っ只中な私達だからこそ、これから自分達の生きる世界を自分達の手で守るべきなのよ」
 私は答え、バイクを唸らせる。
「そうだけど~青春なんだから、恋愛とかもしたいじゃん」
 薫はキーをバイクに差しこむこともせず、駄々をこねる。