自分を否定することから始まった恋が上手くいったことはない。勇気がなく、自信がなく、話す言葉も行動もなく、ただ風のままに待つだけなのだから。でも、あたしはただ待っていたわけじゃない、会話のシミュレーションをしていた。想いの伝え方を勇気を持って練習した。それは二十歳過ぎてそんなことをするなんてって思うかもしれないけど、あたしは真剣に夢見ていた。さきほど恋は盲目と書いたが、あたしもそうだったのだろう。でも、あたしは一方通行で彼にさえ届いていない。この恋はそうヒトリヨガリの恋とも言えてしまう。それってなんだかイタイんじゃないの?とぼんやり思う。
