金持ちというわけではないが、クリスティーヌの家にも使用人くらいはいる。

 近所に住む、ソルティアという若い女子だ。

「ねぇソルティア、ちょっと買い物に付き合ってもらいたいんだけど、今空いてるかな?」

 クリスティーヌはソルティアの家まで行き、彼女に問う。

「え?あぁ、いいですよ」

 ソルティアはそう言って、大きな目をキュッと細めて微笑んだ。

 クリスティーヌはその笑顔が好きだった。

「じゃあ、今から行こう!」

 クリスティーヌはソルティアのか細い腕を掴んだ。

「え!?あ、少しお待ちを…――財布を持ってこなくちゃ…」

◇◆◇◆

 城下町は常に賑わっている。

 クリスティーヌはソルティアの手をしっかり握りしめ、目的の店へ急いだ。