これで五冊目だった。

 カイルはため息を漏らした。

 テアンに出されたクイズの答えは、なかなか見つからない。

「……王子様、諦めたらどうでしょう?」

 カイルはそう呟くロッドを睨んだ。

「気が散るから、暫く離れてろ」

 ロッドはため息をつき、頭を下げて

「では、失礼します」言い残し彼は部屋を出て行く。

 テアンのクイズの答えを捜す為に書物に目を戻した時だった。

 バンッ

 ドアが勢いよく開いた。

「お兄様!」

 カイルは頭を押さえたくなった。

 また、マリィが部屋に飛び込んできたのである。

「なんだよマリィ。俺は忙しいんだぞ」

 すると彼女は、どこから情報を得たのか、

「先生(セオ)にクイズを出されたんですってね!お兄様ってば、本当にバカなんだから…」

 そう言ってクスクス笑う。