ドッ

 音を立て、枝から王子が飛び降りてきた。

「ひゃっ」

「答え、聞かせてくれよ」

 王子がクリスティーヌの目の前まで来て、肩に触れる。

「はい、か、いいえかどっちだ?」

 クリスティーヌは、王子から二歩後ずさり、頭を下げた。

「ごめんなさいっ!!」

「え?」

 クリスティーヌの謝罪に、王子が素っ頓狂な声を漏らす。

「私、王子様と一緒にはなれません!!」

 父の言葉が、脳裏に焼き付いたまま離れない。

「なんで、そんなこと言うんだ?」

 王子の問いに、クリスティーヌは何も答えられなかった。

 答えれば、死んだ筈の父と母が本当は生きているということを話さなければならなくなる。

 それは、できなかった。

「答えろ」

 王子が、鋭い声で言う。

「私が、神の子だから…」