「俺はこの国の王子だ」

 ミィナはゴクリと息を呑んだ。

 彼は、一体何を言おうとしているのだろうか。

「……最初に会ったときは、散々な出会いだったが、俺は、オマエのことが好きだ」

 ミィナは拍子抜けた。

 彼の口から飛び出した言葉の意味が理解できずに頭の中が真っ白になる。

「…好きだ、クリスティーヌ」

 王子が振り向いた。

 途端、彼の顔が凍りつく。

「…オマエ、誰だ?」

 ミィナは「え?」と声を漏らした。

 呼び出しておいて、「誰だ?」とはあまりに失礼だとミィナは思った。

「ロッド、いるか?」

「はい、おります」

 先ほどのロッドが部屋に入ってくる。

「クリスティーヌではないぞ、この者は一体誰だ!?」

「いえ、彼女は金髪ですし、…」

「金髪=クリスティーヌではないぞ!!」