【あしたば】 手招きする影。黄昏が染めた橙。 時計が止まる。無限を欲する。 憔悴しきった大人達。無垢を装う子供達。 耳障りな轟音が、平凡を飲み込んで歌う。爪から、髪から、呼吸から、溢れ出る。あとからあとから溢れ出る。 「あのっ」 また一つ、透明過ぎる命が消えた。 「頑張って、ください、どうか」 そして奇跡が産声を上げた。明日にも消える、儚い定めと知りながら。