【鉄槌】



あの男は、本当はもっともっと弱々しくて、あの女は、本当はもっともっと純朴な子だ。

此方の罪か、彼方の傲慢か。

その姿はあまりに人形的で。綺麗で、リアルだったこの世界に、私は歪みを見た。嫌悪感すら覚えた。

私の手を離れ、彼らはきっと命を得ただろう。

けれどもその刹那、永遠に死んだのだ。

もう二度と、私は彼らとは歩めない。彼らは私でなくなった。

嘗て私は言ったのだ。神が創ったこの世界、神が壊せば本望だろう。

皮肉な事に、創造したのが私なら、葬ったのもこの私。引き金に指を掛けたのは、他でもないこの私。

私の罰か、其方の誤解か。