例えば。
例えばそう、吹き抜ける風が頬を撫でるような。そんな気持ちで生きて行けたなら。
眠りに落ちる前、何度も何度も願っては、欠片ほどの期待を抱いて瞼を下ろす。そうして陽が昇ったら、絶望と共に目覚めるのです。嗚呼また今日が来た、とね。
心臓にすら苛立ちを覚えます。まだ足りないのかと叫びたくなります。この声が嗄れるまで、肺が悲鳴を上げるまで。
けれど僕は、それでも、僕を殺そうとは思わないのです。
【狭間】
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