「よぅ。また女子に囲まれて居たわけ?」

いつもの所…図書室に来た俺。


さくらは壁に寄りかかるように言っていた。


「悪りぃかよ?」

俺はふくれる。

「別に?何か話あるんじゃないの?」

「あぁ。その左目、何で隠してんだ?」

ピクとさくらが反応。


そう…さくらは会った時から、左目を長い前髪で隠して居た。


疑問に思っていたが、今まで気にしないふりした。


「…それ…私も気になっていた…。」

呼ばれた風花は椅子に座っていた。さくらの前の椅子だ。

「座れば?」

さくらが促す。

俺は、風花の反対側の椅子だ。


さくらの顔が見えるところ。

風花は振り向かなくてはいけない場所。


「離れない?」


は?



その時、ピルルと携帯が鳴る。


風花を見たら、違うとジェスチャー。


俺も違う。


「私か…。出るね。」

さくらは、ピンクの二つ折りの携帯を出した。


「…ん?違う。こっちか。」

右ポッケ(マントのだが)から黒の二つ折りの携帯を出した。


「誰から?」


さくらは青ざめた。


「…見る?」

さくらはまだ鳴っている携帯を見せた。


ディスプレイには”颯太(そうた)“。


「…誰?」

風花も覗き込む。


「元彼だよ。まだ諦めてなかったんだな…。」


元彼…?!


「それにしても…どうやって知ったんだか?メルアドは変えたはず…?」


さくらによると、しつこいためにメルアドを変えたとの事だった。


「出たら…?」

「分かったよ。あなた達にも聞こえるようにしてあげるよ。」

さくらは、電話に出た。


机に置いたまま…。


『さくら…?久しぶり。』


颯太からの抑えたような声。

「何の用?」

さくらは威厳を抑えた。

『やだなぁ…。また探してるんだよ?さくら…君をね?』

颯太からの言葉で俺たちは凍りついた。

探す…?


「しつこい。諦めてくんない?」

『やだなぁ…僕に話しかけてくれたろ?付き合った仲じゃないか…。』

「ふざけるな。別れたろ?」

『さくら…。忘れたのかい?祈ったじゃないか。』

祈る…?


さくらの顔を見ると、更に青ざめた。


いや…蒼白になったとでも言えるのか…。



「………。」


さくらは何も言えない。