「ヤバい、俺泣きそうになった!」



晋ちゃんの側に戻ると、目を潤ませた晋ちゃんがいた。



「大袈裟だよー。」



晋ちゃんは思いきり首を横に振った。

私は苦笑いすると、晋ちゃんに預けておいた浴衣を持って廊下に出た。


自室に戻って浴衣に着替えると、ステージ用に濃くしていた化粧を落とす。

本来なら軽く化粧しなきゃいけないけれど、もういいや。伊達眼鏡でもかけて誤魔化そう。




「あれ、お開きですか?」



宴会場に戻る途中、先輩方の集団に出くわした。



「あぁ、ちょうど今ね。」

「そうですか、ありがとうございます。」

「それより、よかったよ加藤さん!」

「俺惚れ惚れしたよー…。」



んー、これから宴会場に戻っても酔っ払いの餌食になるだけだろうしなぁ…。よし、部屋に戻ろう!

先輩方を適当にあしらうと、踵を返した。



課長より下の社員は相部屋で、私は増田ちゃんと相部屋だ。

課長以上の社員は一人部屋で、しかも部屋に露天風呂つきという贅沢さ。



「江藤せんぱっ…!」



部屋に入った瞬間、増田ちゃんのそんな声が聞こえてきた。


(……うわぉ!)

増田ちゃんっ…なんて大胆な!